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美術折々_69
無数の孤立
貘の個展まであと一週間余り。いつの間にか、もう十月だ。
思えば長い間、福岡で制作を続け発表を繰り返してきた。初めての個展からすでに41年が過ぎた。
20代の始め「現代美術」に触れ、その後の崩壊も見て来た。それももう、20年も前のことである。
ずっといつもひとりだったが、「貘」があったし、いつも誰かが見てくれていた。そして今も誰かがいる。
それは見知らぬひとかもしれないし、どこか遠いところで同じようなことを感じ、考えているひとかも
しれない。
制作を続けるということは、そういうことだと思っている。
孤立など、どこにでもある。いやそういう孤立が無数にあるのだ。
だとすれば、そのことは「孤立」ではないと言えるだろう。
私たちは、はたして見えているのか。気づいているのだろうか。