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美術折々_64
続きではない夢のつづき
じつは、昨夜こんな夢をみた。
それは今日描こうと決めていた制作中の作品の、未完部分(僕の中では両性具有の顔)の続きを
昨日描き終えたところから、夢の中で描いているという夢だった。
つまり、僕はきょう実際に描くまえに、夢の中ですでに明日描くべきところをあらかじめ描いていたという
ことになる。そのことは、朝目が覚めた後も鮮明に残っていた。だから、今日はどこかその描き方を反芻する
ように描き進めていった。
これはいわゆる正夢とも違う。なぜなら夢でみたことがそのまま現実となった訳でもないからだ。
むしろ明日の現実をまえして、夢は、さいなまれていたというべきか。
おそらく僕はどう描けばいいのかをずっと思案していたに違いない。それが夢の中で、「続き」となって
先に現れたのだと思う。
それが浅い眠りからなのか、熟睡の中なのかは分らない。ただそこには、逃れられない「意識」だけが
夢と現実のあいだを貫いていたことだけは、確かなように思われた。
これもまた、眠れぬ夏の夜の、夢のひとつなのだろうか。