元村正信の美術折々/2018-02-11 のバックアップ差分(No.2)

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美術折々＿130
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世界は転倒を待っている
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深夜の街を歩きながら、ガラス窓に灯る文字をふと切り取ってみた。

でも、宙刷りになってしまった写真の“ON”は一体何に「触れて」いるのだろう。
でも、宙刷りになってしまった写真の “ON” は一体何に「触れて」いるのだろう。

もちろんその文字は、分厚いガラスに貼り付いているにはいる。
だったら“On the grass”ということにはなるが、でもその“ON”だけでは何も語れない。
もちろん、その電飾文字は分厚いガラスの内側に貼り付けられている。
だったら「ガラスの」ということでは、 “On the grass” ということにはなるが、
でもこの切り取られた “ON” だけでは何も語れない。

まるで何かを渇望しているかのように、僕には見えてしまう。何かに触れさせて、と。
凍てついた暗い冬の夜に向けて放つ、けなげな白色光“ON”。
それはまるで何かを渇望しているかのように、僕には見えてしまう。何かに触れさせてと。
凍てついた暗い冬の夜に向けて放つ、意味不明となってしまった白色光 “ON”。

ここでは主体も他者も物体も、一切がない。ただ白く抜いたように“ON”だけが光り続けている。
ここでは主体も他者も物体も、一切がない。ただ白く抜いたように “ON” だけが光り続けている。

でもこの“ON”を転倒させて見よう。そう“NO”だ。否という、否定の言葉が現れる。
そうなのだ。世界を直ぐさま転倒させれば、天地を転倒させれば、“ON”に隠されたその意味が見えてくる。
でもこの “ON” を転倒させて見よう。そう “NO” だ。否（ノン）という、否定の言葉が現れる。
そうなのだ。世界を直ぐさま転倒させれば、天地を転倒させれば、“ON” に隠されたその意味が見えてくる。

世界を見るとは、そういうことではないのだろうか。
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