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美術折々_238
元村正信「抗い結晶するわたしたちの」(2)
下記の写真は、板壁にかけた今回の個展作品のひとつ(P3)。貘をご存知の方ならおわかりだろうが、貘の入口正面のこの板壁は左のアートスペース貘と右のカフェ、屋根裏 貘とをつなぐ、いわば貘のフロントギャラリーにあたる壁だ。アートスペース貘関係のDMをはじめ、福岡や国内各地のギャラリーから届いたDMが所狭しと貼られている。
つまりギャラリーのそとにあるからスポットもないし、作品があっても一瞥されやすい場所だが、僕はいつもここに1点掛けている。そしてそのずっと左上には1976年12月の貘オープン時の告知ポスターが貼られ、日頃は誰からも気づかれずに43年前からずっとそこにあって、多くの人や客の出入りを見つめてきたという訳である。
でも「誰からも気づかれずに」というのには嘘がある。みるひとは見ているだろうし、気づいてもいるはずだ。「作品」というのもそういうものだ。だれかが何かに気づいていると、僕はおもっている。