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美術折々_132
追記:福間良夫
このブログの1月24日付で紹介した映像作家、福間良夫の没後10年とFMF結成40周年をまとめた冊子が、
初版の訂正等を含めこのほど改訂完全版として追加出版された。アートスペース貘となりの「屋根裏貘」の
カウンターでも取り扱っているので関心や興味のある方は、ぜひ一度手に取って頂ければと思う。
(頒価:800円)
彼の映像作品のほとんどは、フィルムメーカーの川口 肇が言うように「光と視覚」への執着からなっていたといっても、過言ではないだろう。福間良夫の大きく見開いた目。その眼光の奥からは、何とも言えぬ、はにかみと繊細な勇猛さが、いつも溢れ出していた。過剰に押し寄せてくる光をとらえようとすれば、大きな目は
少なからず寡黙を貫くしかなかったのかも知れない。
1977年だったろうか。祇園町の、とあるビルの中の寒々としたスケルトンの空室で、わずかな観客に向けてのFMFのシネマテーク
で見せてくれた萩原朔美の、腐っていくリンゴを1年間撮り続けた『TIME 時間の痕跡』や、クロミとスヌケ
のみの映画、飯村隆彦の『1秒間24コマ』も、福間たちが紹介してくれたすぐれた個人映画作品の中のひと
コマだった。
後に残ってしまった者からすればいつだって、時代はすっかり悪い方に変わってしまったよ、と吐き捨てることは容易だ。だがそのまえに私たちは、もっと実行しなければならないことが山ほどあるはずだ。
ニーチェを呼び出すまでもなく、抵抗は克服されて初めて価値を持つものなのだから。
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