志村直子 個展 「string of beads」
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キャンバスと厚手の紙に描いた油彩による志村直子さんの個展は、
淡いマゼンタやモーブの色彩が織りなす優しさにみちた絵画です。
それらは、多肉植物のルビーネックレスを思わせるリズミカルな葉の連なりのようにも見えます。
だからと言って、はっきりとした形を見る人に押し付けているわけではありません。
そこでは、ひとのこころの刺々しさや殺伐とした人間関係の営みも、どこか遠くのものに思えるのです。
いつも抱えているこころのこわばりが、ここでは思わずほどけて来るようです。
それでも志村さんの絵画には画家の意志というものが、はっきりと感じられます。
色彩と筆触とが一体になった、絵画ならではの「幸福感」がここにはあるのではないでしょうか。
「string of beads」は、みじかい初夏を惜しむグリーンネックレスなのかも知れません。
きょうは梅雨入り。まとまった雨の滴を前に、画廊には一陣の清涼な風が吹いていました。
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(同展は6月11日まで)