…………………………………………………………………………………………………………………………………… 美術折々_25 ふたりの作家 ~ 先日、ひさしぶりの雨の中、須崎公園の福岡県立美術館で開催中の展覧会「紙、やどる形」を見た。 「紙」を素材・テーマとする作品の魅力を探るという(44作家、58点から成る)企画展。 ほとんど予備知識もなく、ただ「紙」という興味にひかれて足を運んだ。 いわゆる工芸から人形、陶芸、デザイナーや美術家まで、作家数も多く幅広いせいか、良くいえば作品はバラエティに富む。 中でも再び感銘を受けたのは、関島寿子の作品。再びというのは、3年前の春、2012年同じ福岡県立美術館の 企画展「糸の先へ」という染織工芸やファィバーワークを中心にした展覧会で、不勉強ながら初めて知った 工芸家で、今回は小品1点のみだが和紙のような紙と植物の繊維を絡ませ、編んだ、奇妙な言い方が許されれば、どこか古代の「書物」のような作品《12葉の冊》だ。 それは関島寿子が20年前に語った、「ぶ厚い壁に囲まれた空間を作る事を私は長く夢みていた」という言葉を、今回の作品に偶然重ねることができた時、僕はこの小品に遥けき大きさを感じていたことに、ひとり納得させられたのである。そのことは、この作家の長いあいだの思考の誠実さを裏付けているように思われたのだ。 それは関島寿子が20年前に語った、「ぶ厚い壁に囲まれた空間を作る事を私は長く夢みていた」という言葉を、今回の作品に偶然重ねることができた時、僕はこの小品に遥けき大きさを感じていたことに、ひとり納得 させられたのである。そのことは、この作家の長いあいだの思考の誠実さを裏付けているように思われたのだ。 ほかにもう1点、アントラ・アウグスティーノヴィッツアの《Dayspring》という糸と紙で出来た煌めく宝石の ような、睡蓮の花をも彷彿させる作品に、こころ惹かれた。 (同展は11月23日迄)