元村正信の美術折々/2020-09-06 のバックアップソース(No.1)

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美術折々_294
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気づかされた「小さな再発見」
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日経新聞夕刊の短文コラム『あすへの話題』(9月4日付)に、美術家の森村泰昌が寄稿していた。
美術の話ではないのだが、ちょっとだけ面白いところがあったので少し抜粋して見よう。
森村泰昌いわく。
「先日、大発見をした。と言ってもたいした話ではない。自動改札機で ICOCA(元村注:JR西日本発行のIC カード乗車券)などの電子カードを使用する際、乗客のほぼ全員が、カードを改札機のセンサー部分にあてがって反応させる。時々、センサー画面にカードをどうだとばかり叩きける人もいる。しかし実際は、カードとセンサー画面を接触させる必要はない。カードはかざすだけで改札が開く。(…)あれはタッチパネルではなく、非接触パネルシステムだったのである」というもの。

森村さんはこれを「小さな大発見だった」という。彼の喜びがよく伝わってくる。僕が彼のこの私的感動をわざわざ取り上げたのは、では今これを読んでくれている皆さんの改札機でのカードのかざし方はどうなのだろう、と思ったからだ。

というのも、僕も今までこのICカード乗車券を長く利用しているのだが、じつはほとんどセンサー画面にカードを接触させたことがない。たいていカードを浮かせて改札機を通過していたから。たしかに多くの人はカードを軽く接触させているようだけれど。まあそれぞれ強弱どんな触れ方でもいいのだが。森村泰昌の「小さな大発見だった」には思わずビックリしたのです。

逆に言えば、カードをほとんど接触させたことがない僕の方が、おかしいのかも知れないのだ。なぜこれまで「非接触」だったのだろうかと思うと、特にこれと言った理由もないのだがその方が、触れないぶん力が不要なようでフワリと通過できそう。と思っているのかも。

いずれにしろ森村さん自身が、たまたま初めて知った改札機での「非接触」の「小さな大発見」は、僕にとっては自分の習慣に気づかされた「小さな再発見」だったということになる。
皆さんの改札機でのカードのかざし方は、いかがでしょう。