元村正信の美術折々/2019-10-26 のバックアップ(No.2)


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美術折々_235

名状しがたきもの

 日々なぜわたしたちは、じぶんが思うことを他者に「説明」することを求められるのだろう。コミュニケーションのためか。説明とは、つまり分かりやすさの最大公約数だ。そうではなく、むしろじぶん自身でさえ説明〈できない〉ことの余りにも多さに悩まされているのが、わたしたちというものではないのか。

説明し、言葉で表現することが、その説明できなさを、変な言い方だが多様に疎外していることもある。 しかし芸術というものは、どこかでそんな言葉をいちど転覆させた〈言葉〉でなければならないはずだ。

〈名状しがたさ〉とは、説明できないその言葉こそを欲しているのではないだろうか。その意味で絵画もまた言葉なのだ。