元村正信の美術折々/2019-04-06 のバックアップ(No.1)


……………………………………………………………………………………………………………………………………


美術折々_202


絵画ならざるもの[その二]


おそらく始めに、手に着いた〈血〉はヒトに、大地に、岩に、草木に、擦りつけられたであろう。

これが最初の顔料ともいうべき〈絵具〉の発見だったのかも知れない。

しかしここにはまだ描かれるべき〈絵〉すらない。

あの「ショーヴェ洞窟」でさえ、3万5000年程まえのもの。

じゃあ、「洞窟画」以前に〈絵〉はなかったのか。あったとおもう。

ではいまだ発見しえない〈絵以前〉には、何があったのだろう。

〈何を〉刻んでいたのか。〈なぜ〉刻印していたのか。

最古の〈石器〉は、約300万年前ほど前にはあったというが。

しかし単なる〈石ころ〉は、もっと前からあったし、〈骨〉だってそこかしこに転がっていたはずだ。

遥か《芸術以前》にあったはずの、何かの痕跡のようなもの。

でも、なにも残ってはいないから。しかし残ってはいないものの中に《絵画》の、どこまでもたどれない起源がある。