元村正信の美術折々/2018-08-29 のバックアップ差分(No.1)


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美術折々_164

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怠惰に抗する日

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どんなに暑い夏でも、いつものように仕事をするというのは、つい色んなものに甘えたり、あるいは萎えたりするもの。それでもなぜ、そんな気持ちに鞭打つように〈仕事〉というものを、切れ目なく持続せねばならないのか。もちろん食べて行くためだというのは誰しも分かりきったことなのだが。

僕などは、かなり怠け者の方でいい加減な人間だから、若い頃から時間さえあれば寝て過ごすことを日々の幸福としているくらいだ。でもそんな人間がなぜこうして定義や評価、価値というものがつねに不確定であり流動し続ける〈芸術〉というものに向かって、いまだに自らの細き生を費やしそれに立ち向かっているのかを考える時、つくづく馬鹿なのだろうと思うのだ。しかしそんな人間にも〈魂〉というものは宿っているのである。

なぜ私たちの日々の暮らしというものは、こんなにも踏みにじられ翻弄され、騙されているのに、それによって成り立っている世界というものをなぜ私たちは享受し続けねければならないのだろう。現在の「アート」や「芸術」に、そんな理不尽さへの〈異和〉はないのだろうか。それがどんな表現の形式でもいいのだが、現にあるこの世界との違和を持つならば、この世の欺瞞や横暴に抗していく生き方に、きっとどこかで対峙するはずなのに。

そんなことを思いつつ、あと2ヵ月となったアートスペース貘での個展に向けて、汗を滲ませながら自らの「怠惰」に日々抗しているのです。