元村正信の美術折々/2018-07-27 のバックアップソース(No.1)

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美術折々_159

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いってしまった、運転士たちよ

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ある私鉄沿線の駅ホーム。錆びついた蛍光灯のカバーの色にその青白い光が怪しく馴染んでいる。
夏の昼間だというのに屋根の向こうの空は、異常な汗と涙とも一切無縁のようで、どこまでも冷静な灰色だった。

これは明日の予告なのか。あるいは、きょうの照りつける日射しの隠蔽なのだろうか。
ここでぐるりと首を廻せば、澄みきった青い海も泥沼の残滓も永久凍土もすべてこのホームから見渡すことができるという。
ほんとうだろうか。

それにしても何日電車を見送れば帰してくれるのだろう。運転士たちよ。そこかしこに見ず知らずの子どもたちを縛り付けたまま、
その親たちを捕縛していってしまった、運転士たちよ。ホームで泣きじゃくるこの子たちに親を帰してはくれまいか。
たとえこの夏が、親たちの欺瞞に鉄槌を下すことがあったとしても。