元村正信の美術折々/2018-04-30 のバックアップの現在との差分(No.1)


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美術折々_144
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見るこ
不思議な子の国
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母いわく。
「石炭は、軽くて艶があって、真っ黒い」。
「ボタは、石みたいに重くて、艶がないし色も悪い」。

昨夜はじめて、この話を聞いた。
昨夜、はじめてこの話を聞いた。
それももう75年ほど前の、戦時中のことだ。
戦争のことは、これまでも母からは色々聞いてはいた。

そしてその話の最後に、ぽつりとこう言うのだった。
「不思議な子供が生まれたものだ」と。
「不思議な子供が生まれたもの」だと。
むろんこれは、不肖、僕のことなのだが。

でもなぜか、その「子供」が僕には戦後のこの日本の、この国のことに思えた。
そう響いて聞こえたのだった。

しかしその「不思議」さは、石炭もボタもそれに絡んだ全ての利益と残虐を廃絶してもなお、生き延びる「国家」というものの、今のいびつなこの国の相貌以外のなにものでもないだろう。
しかしその「不思議」さは、石炭もボタもそれに絡んだ全ての利益と残虐を廃絶してもなお、生き延びる「国家」というものの、今のいびつなこの国の相貌以外の何ものでもないだろう。