元村正信の美術折々/2015-02-19 のバックアップ差分(No.1)


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*美術折々_02

大塚咲X夕希 展

ちかい春の風がまじった昨夜とは違って、寒かったきょうの昼下がり。
屋根裏貘のカウンターで、初めて来たというひとりの少年と出会った。
 
彼はひとつ置いた左の椅子に腰を下ろすなり、「ブラック」といった。
懐かしい響きだ。
ブラック。もちろんコーヒーのことであるが、
つまり砂糖はいらないという注文のしかたである。
こんなオーダーの仕方ができる少年が持つ、懐かしさ。

そのまえに、僕は隣りの貘のギャラリーで、130点程もあろうかという
ふたりの女の吐息に充ちた生々しい写真の「熱」に接したばかり…。
初めて会ったこの色白の華奢な少年と、彼が吐いたブラックのことばの響きを、
当然その写真を見てきたであろう彼と、女たちの艶かしさを
重ねずにはおれなかったのだ。 

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