アートスペース走り書き/2020-04-05 のバックアップ(No.1)


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アートスペース走り書き_06

オダミツル 写真展「と」  [〜4月12日迄]

改めて紹介すると、オダミツルすなわち小田 満は「アートスペース貘」隣のカフェ「屋根裏 貘」のオーナーであり、
屋根裏のカウンター界隈では女性ヌードしか撮らない「写真家」としても良く知られている(笑)。

僕なんかからすると、もっと「女」そのものを美しく撮ればいいのにと思ってしまう。
もしかしたらオダミツルには、女性は美しいけれどその女性を美しく撮ろうという気がないのかも知れない。
写真を見ればわかるが、そのおおくは風景の中に彼の意識によって投げ出された女がいる、という感じなのである。

その意味で、女の裸体はオダミツルにとって何かへの糸口、いや口実なのかもと思ったりするのだが。
この現実がどこかで幻想の世界とつながっているのだとしたら、彼にあっては敢えてそのような「迷界」の方へ
迷いの世界へと紛れ込むために、真実を知らないままの若い女の裸体が添えらていると言うべきか。

それでもこの世に真実というものが確かにあったとしても、それが何の役にもたたない時なんて
この世界には幾らでもある。いまだって感染症に翻弄されて続けている私たちの無数の「真実」が、
世界という迷宮のただ中で、もがいているではないか。

それでもオダミツルの写真は、迷いの世界をいつまでも、彷徨し続けるに違いない。
写真は何を残すのだろうか。ある真実か、それとも虚偽か。
すべてが過ぎ去ったあとに何かが残るにしても。

                                             (元村正信)

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