元村正信の美術折々/2020-11-01 のバックアップ(No.2)


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美術折々_303

だれもいない空洞だけがまぶしく



この昼の 澄みわたる青空の下 
穏やかな都心の公園の中心にぱっくりとあいた
大きく平らな真砂土の空洞がある

それでも子供も大人もそこで遊び戯れようなんて
思いもしないし 寄りつきもしない土曜の昼すぎ

だからそうやっていつしか空洞になったのだ
その円形の空き地を囲むようにして 朽ちかけた
木製のベンチが並ぶ

それを背にして植えられた樹木の連なりを
見渡せば 結局それが公園
でも人はそこを避けるから それでも公園なのだろうか

ぼくはそのベンチのひとつに座って この空洞の中心を
ずっと見つめていた だが本当はそこに中心なんて
あるのだろうか この空しさは何なのだろう

唐突だが この空しさに応えられる「絵画」は
どれほどあるのだろうか なぜ絵画なのか
そのとき じぶんの絵をふとおもい浮かべて
いたのかも知れない

まぶしい秋の晴れ間の光だけが だれもいない空洞を
いっそう照らし たたえていた
だからといって その空洞は けして照れることなく
いまも空しさにみちている この夜にも