安藤圭汰 個展 「花は野にあるように」
紙に鉛筆などで描かれているのは、ろっ骨や内蔵を抉りだされた「鳥」なのでしょうか。
これをグロテスクといえば、言えないこともないのですが、広い意味での想像上の生き物たちは
どこか私たち人間を描いているようにも思えます。
もしかしたら安藤さんにとって鳥人のような生き物は、この世のどこかに実在しているものかも知れません。
でなければ、それを「寓話」と見てもいいのではないでしょうか。
手は、筆は、何かをまさぐるようにして描き進められています。その意味でもこれは確かにドローイング
なのです。でも一方でそこには不確かな、ためらいも同時に描かれているような気がします。
安藤さんが、かの利休さんをどう畏怖しているのかは、これらの作品からは直截には読めませんが、
こう描いて行きたい、こうありたいという若い気概のようなものは、ひりひりと伝わってきます。
さあ未知なる荒野へと、全身で飛び込んで見てください。あとは死ぬも生きるも身一つ、そして野にありです。
(同展は6月25日まで)