元村正信の美術折々/2018-05-15 のバックアップ(No.1)


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美術折々_147

いまも僕の手許に

1975年7月、日本橋本町にあった田村画廊での初個展からこの夏で、43年がたつ。
真木、田村、駒井の各画廊そしてその主人で、恩ある山岸信郎氏(1929-2008)もすでになく、この国の
「現代美術」が崩壊してからも約20年余という時間を含め、僕のなかでは過ぎたことになる。

いわゆる「現代美術」から出発した僕にとっては、たとえ「1970年代が不毛の時代であり、1980年代は不毛ですらない時代」(藤枝晃雄)であったとしても、《美術/芸術》を問うことと《作品》をつくることはつねに同義であったし、これはそれ以後もいまも変わりはない。

ただこの21世紀に「ポスト現代美術」と呼べるものがあるかどうかは分からないが、「現代美術」なきあとの、ものみな「アート」という時代にあっても、僕は制作をとおして《作品》というものの成り立ちの際どさや
危うさを、いつも確かめるのだ。

ながいあいだ、少なくはない作品を作っては壊し捨て去ってきた。むろん買っていただいたり、収蔵して頂いた作品もあるし、いまも倉庫に眠ったままのものある。その中でも下記にUPした写真の作品は30歳の時のものだが、なぜかいまも僕の手許にずっと離れずある一点だ。いつも楽なことなどなかったが、苦ばかりをともにしてきた作品なのである。

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元村正信 「無題」 1983年 制作(未発表作品) 木・枝 size : 19.5×21×62cm