…………………………………………………………………………………………………………………………………… 美術折々_115
弾かれる思い
そぼ降る雨のなか。
東の方から西へと池の水面に、屈折させながら白い線を描いてみた。
だからといって、どうなるという訳でもないのだが。
白い線はどこまでも仮構であって、水面そのものは何ひとつ関わってはいないはずなのに。
それでも僕が、この世のどこかにひとすじの亀裂を入れたいという願いさえも、弾かれて。
水面だけが冷たく笑っているのだった。